新型コロナ問題での歯科医療の役割

こんにちは。中野区 新井薬師前駅徒歩4分 中野通り沿いにある歯医者さん コンデンタルクリニック院長の今です。

東京を含む首都圏で緊急事態宣言が発令された4月8日から、先日の解除の報告のあった5月25日まで、歯科界でも様々なことが起こりました。その流れは今も続いていますし、歯科医療というものを考えさせられる日々でした。

緊急事態宣言が発令されると、歯科医院はアメリカのように閉院しなくてはいけないことを覚悟していました。しかし、結果としては歯科を含む医療従事の仕事には規制はかかりませんでした。ただ、歯科医師会のほうからは、緊急を要しない治療は、行なわず延期するよう通達が来ました。

当院も近隣の病院で大きなクラスターが発生したため、患者さんの受け入れを制限して縮小診療を行うようにしました。メンテナンスを含めた緊急性のないと思われる治療の方は日にちの変更をお願いして、診療にあたりました。感染拡大防止のためでしたが、皆さんのご協力に感謝申し上げます。

皆さんは、スタンダードプリコーションという考え方をご存じでしょうか。スタンダードプリコーションというのは、感染症にかかっている事が明らかになっている人に対して対策を講じるのではなく、すべての患者様の体液や分泌液、粘液などが感染源であるかもしれない、と考えた上で、その感染を予防する対策の事です。当院では元来、このスタンダードプリコーションに則り様々な感染防止対策を講じており、さらに新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために各種取り組みを実施しております。

日々先の見えない中で、勇気づけられたのは感染拡大防止に普段以上に院内の滅菌、消毒、清掃に力を入れてくれたスタッフの頑張りや患者様からの励ましの言葉だったりします。また、全国的に深刻な医療物資の不足に陥り、マスク、アルコール消毒液、グローブなど今まで普通に流通していた物が手に入らなくなりました。そんな中、一生懸命医療物資の調達にあたってくれたディーラーの方々、また、マスクを寄贈していただいた歯科医師会、患者様の紹介でマスクを寄贈していただいた村上財団の方たちに深く感謝申し上げます。

新型コロナウイルス感染拡大の最中、歯科医療の重要性をメディアでも取り上げていただくこともありました。しかし、一方で歯科医療従事者が感染リスクが高いなど、誹謗中傷する報道も多くされました。現実には感染リスクが高い職種といえども前述したスタンダードプリコーションを常日頃から行っているため、ウイルスの感染リスクはかなり低く、これだけ感染拡大が生じている中で、全国の歯科医院で患者さんが新型コロナウイルスに感染したケースは一つもありません。日本歯科医師会も歯科医院が安全であるということを告知しています。

最近の新型コロナウイルスに関する論文では、感染の予防には口腔衛生管理が重要という論文も出てきています。我々歯科医療従事者は唯一それができる職業だと思っております。ウイルスは目や鼻や口から入ってきます。日本のように早くからマスク着用を徹底していたからこそ、欧米諸国に比べて感染者数が少ないのではないでしょうか。

1.口腔健康管理(口腔清掃)はウイルス感染への水際対策です。

2.不潔なお口は腸内細菌のバランスを乱して全身の免疫力を弱めます。

3.お口が不潔だと肺炎のリスクも高まります。

以上のことが、日本歯科医学会連合 新型コロナウイルス感染症対策チームで詳しく書かれています。

歯科医療は、口の中の病気が多いことから医科から分化したと聞いたことがあります。歯科は常に虫歯菌や歯周病菌、その他の細菌やウイルスとの戦いの医療です。新型コロナウイルスも例外ではないと思っております。口腔の状態を良くしてあげることが新型コロナウイルス感染防止にも有益であり、昔から感染症に立ち向かってきた歯科医療だからこそそれができるのではないかと思っております。

最後に、この未曽有の事態の中で感染拡大防止に尽力を注いでくれているスタッフ、予約変更をお願いしながら来院していただいた患者様、休まず医療物資を届けていただいたディーラーの方々、マスクを寄贈していただいた歯科医師会、村上財団の関係者の方々、そして心配しながらいつも見守ってくれている家族に感謝の意を表します。