こんにちは。中野区新井薬師前駅徒歩4分 中野通り沿いにある歯医者さん コンデンタルクリニック院長の今です。
今回はあまり聞きなれない言葉かもしれませんがオーラルフレイルについてお話したいと思います。
健康寿命という言葉は聞いたことがあるかもしれませんが、言葉通り人が一生の中で健康でいられるまでの年齢です。それに対して生物学的寿命というのは死ぬまでの年齢です。これらの差を不健康寿命とも言います。
不健康寿命とはすなわち、健康な状態から病院などに通い始めて、要介護状態になってしまう期間です。その期間は男性で9年間、女性で12年間ぐらいだともいわれています。
「フレイル」という状態は、人の老化の過程における「健康」と「要介護状態」の中間であり、健康障害につながる心身の脆弱な状態であると同時に、ストレスに対する予備力の低下に起因した状態と定義されています。・・・ちょっと難しいですね。
ただ超高齢化の現代社会では、多くの人が徐々に自立度を低下させて、フレイルという状態を経て要介護状態に至るということが、様々な研究機関で報告されています。
全身に影響を及ぼすフレイルと、口腔機能とのかかわりはどうでしょうか?
身体機能・精神機能が低下していくと、すなわちフレイルの状態になっていくと口腔機能の低下も見られるようになります。はじめは、食事時間の延長や、ちょっとした食べこぼしやムセ込みなど。また不具合のある義歯の長期装着や未治療の歯の状態によって、出かけることや、外食を避ける原因にもなり、だんだん閉じこもってしまう傾向にあります。このように口の中の問題から、社会性の欠如に発展していき、運動量の低下に伴う空腹感の欠如、食事が楽しめないなど、悪いサイクルに入っていきます。このような状態のことを「オーラルフレイル」と言います。
また、摂食嚥下機能の低下、口腔機能の低下も、栄養摂取量の低下に至ります。低栄養の存在はサルコペニア(筋肉減少症)につながり、活力低下、筋力低下、身体機能低下、活動度、消費エネルギーの減少、ひいては食欲低下をもたらし、さらに栄養不良を促進させる負のスパイラルを生み出します。
最初に述べた健康寿命を延ばすためには、フレイルの状態を放置せずに改善・回復していくことが、大切になりますね!
口の中から栄養を摂取するためには咀嚼が重要な要素になってきます。咀嚼器官としての歯の存在は栄養を摂取する意味では最も大切な器官です。動物は歯が無くなってしまうと死んでしまいますね。人間は義歯や、インプラントなど自分の歯が無くなってもそれを補うことができますが、できれば自分の歯が残っていて咀嚼できた方がいいですよね。1本の歯の崩壊から口の中のバランスが崩れてくることもあります。
高齢者を対象とした研究結果にこんなことが書かれていました。
「お口から食事を食べることが人生終焉までの最大の喜びであり幸福感につながることが認められた。」
要介護状態になると口から食事をとることも難しくなり、重症な摂食機能障害になりかねません。オーラルフレイルに陥らない為には、健康な時から予防していくことが大切ですね‼